褒められるほどバカになりましょう!

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第36回

~『ユニ・チャーム 共振の経営』(高原豪久著)を読んで学んだこと~

 

悪い時もツライが、良い時ほど怖いことはない

 

誰しも、何をやってもうまくいかないという時期が一度や二度はあると思います。なにせ、自分は頑張っているのにうまくいかないのです。ツライ限りですが、一方で、何事もいつかは歯車が噛み合うと信じて諦めなければ、もがき続けているうちにいつか必ず好転する時がきます。

うまくやるコツとでも言うのでしょうか?それを会得することで、自分では何が変わったか良く理解できず、コトバでうまく説明できなくても、引き続き努力することで逆境から脱け出し、やがては順境に入ります。

ところが問題はここからです。

順境になったときこそ、それを維持できるか、また逆境に逆戻りしてしまうかの正念場なのです。つまり、それほど多くの危機が訪れるのですが、ほとんどの人はどのような危機があることすら理解していないと思います。

では、どのような危機が潜んでおり、そして、どのように解決するか、本書を読んでそのヒントを見つけましたので、以下に引用します。

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/%E5%A4%B1%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%9F%E5%A0%B4%E6%89%80-%E9%83%A8%E5%B1%8B-%E6%AE%8B%E3%81%99-pforphoto-%E5%8F%A4%E3%81%84-%E5%B4%A9%E5%A3%8A-%E7%B5%8C%E9%81%8E-2218102/

 

【この本のポイント!】

 

褒め言葉はバカになる―—順境に流行る五つの病

 

(前略)しかし、このように順境にあるときこそ、人や組織は危ないと私は考えています。「いい会社ですね」と言われるのはうれしいことなのですが、そこには、かかりやすい「病」があるのです。わが社では、これを「順境に流行る五つの病」と称して厳しく戒(いまし)めています。

 

①傲慢
②怠惰
③恩義、信義を忘れる
④不平不満が多い
⑤調子に乗りすぎる

 

『武士道』などを著した新渡戸稲造の『修養』は私の座右の書ですが、この『修養』の第11章に「人生の危機は順境で起こる」があります。このなかで新渡戸翁は、順境にはこの5つの危機が潜んでいると説いています。(中略)

 

①傲慢
順境になると傲慢になりやすく、周囲から褒められると、「自分はもしかすると相当に優秀かもしれない」とうぬぼれてしまいがちです。
さらには、単に自分を優秀だと思うだけでなく、他人や他社を見下したり、上から目線で高慢な口の利き方をしたり、あら探しばかりをしたりするくだらない人間に成り下がります。

 

①怠惰
順境にあると怠惰になります。「もう立派なグローバル企業の仲間入りだ」と周囲から褒めそやされると、「ここまで来たのだから、もういいかな」と心のどこかで甘え、安心してしまうのです。
それでも、最近マンネリ気味で昔と比べると努力を怠っていることを自覚し、もう一度切磋琢磨すればよいのですが、多くの場合、部下や後輩など、自分を持ち上げてくれる人ばかりを集めた飲み会などで大げさに苦労や経験談を語り、「いまの怠惰も、過去の苦労で帳尻が合う」と自分に都合よく考えるようになります。

 

③恩義、信義を忘れる
順境にあると恩義、信義を忘れます。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」です。しかし、逆境にあったときに受けたお取引先や上司・先輩・同僚、後輩からの恩を決して忘れてはいけないと思います。
とはいえ、順境になると、以前の苦しかったことや辛かったことの記憶が薄れていくと同時に、周囲から受けた恩も忘れがちです。人間は誰しも、いまの自分があるのは、周囲の助力ではなく、自分の努力のたまものであると驕(おご)り、うぬぼれる傾向があります。
順境にあるときに、これまで受けた周囲からの恩や信義を忘れずにいることは本当に難しいと思います。

 

④不平不満が多い
順境にあると不平不満が多くなります。もちろん、逆境にあるときも不平や不満は感じていますが、「ここを頑張って乗り切ろう」という気持ちのほうが強く、言葉をのみ込んでいます。
しかし、少しずつ状況が良くなって順境に入ってくると、周囲をはばからず不平不満を口に出すようになります。そして、順境に向かっていることをありがたいとも思わず、もっと評価され、もっと待遇が良くなっても、これまでの努力からすれば当然だと思うようになり、慎(つつし)みの気持ちを忘れてしまいがちです。

 

⑤調子に乗りすぎる
順境にあると調子にのりすぎます。「運も実力のうち」という言葉を真に受けて、「機を逸することなく目の前のチャンスに乗じる」という言葉を文字通りに乱用してしまいます。
十分に調査もせず、軽率に新製品や新規事業・新規エリアへの取り組みを断行し、その結果、一気に逆境へ転落する企業を、私は、これまでにもたくさん見てきました。また、ユニ・チャームでも、これまで同様の失敗を多数重ねてきました。
周囲におだてられ、自らも調子に乗りすぎて、しなくてもよいことをやったり、してはならないことに手を出したりすると、どんなエクセレントカンパニーであっても、あっという間に転落します。

 

以上の5つの病の厄介な点は、いずれも自覚症状が乏しいことです。私がお取引先や投資家を訪問する理由の一つは、この5つの病に自身がかかっていないかどうかを確認するためでもあります。
ぜひ皆さんも、日々自己観照すると同時に、互いに直言し合う習慣を身に付けてください。また、私に対しても必ず直言をお願いします。絶対に怒りませんから(笑)。
褒め言葉は、時として「バカになれ、バカになれ」と言われているのに等しいことに気がつかないといけません。
『ユニ・チャーム 共振の経営』P165~170

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/%E8%84%B3-%E5%BF%83-%E6%80%9D%E8%80%83-%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0-%E7%AB%B6%E4%BA%89-%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%84-%E7%8B%82%E4%BF%A1%E7%9A%84%E3%81%AA-%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3-954817/

 

上記のとおり、順境で注意すべき5つのポイントがありますが、私は、その中でも特に3番目の「恩義、信義を忘れる」ことが一番の問題であると考えています。

逆境を抜け出すときというのは、諦めずやり続けるというのは本人の努力ですし、だからこそ、それを見て手を差し伸べてくる人が出てくるのですが、手を差し伸べてくれた人がいたからこそ、逆境から脱け出すことができたのです。

このように、現在うまくいっている人はほぼ例外なく他人の力を借りています。本人は無我夢中で誰かから助けてもらったとは意識していませんが、感謝すべき人は大勢いるはずです。

これらの恩義、信義を忘れると、芥川龍之介の小説『蜘蛛の糸』に出てくるカンダタが、自分だけが良い目に遭おうとしてまた地獄に逆戻りしたように、再び逆境になることは間違いありません。

誰だって褒められたらうれしいです。ただ、人から褒められれば褒められるほどバカになるということを、いや、強く意識してバカになり、恩義や信義を忘れてはならないということを、本書を読んで学ばせていただきました。

 

一介の読書オタクより

 


画像引用元:https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%A0-%E5%85%B1%E6%8C%AF%E3%81%AE%E7%B5%8C%E5%96%B6-%E3%80%8C%E7%B5%8C%E5%96%B6%E5%8A%9B%C3%97%E7%8F%BE%E5%A0%B4%E5%8A%9B%E3%80%8D%E3%81%A7%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%82%92%E7%9B%AE%E6%8C%87%E3%81%99-%E9%AB%98%E5%8E%9F-%E8%B1%AA%E4%B9%85/dp/4532319188/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1494064955&sr=8-1&keywords=%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%80%80%E5%85%B1%E6%8C%AF%E3%81%AE%E7%B5%8C%E5%96%B6

 

参考図書:『ユニ・チャーム 共振の経営』
発行年月:2014年6月
著者:高原豪久(たからは・たかひさ)
発行所:日本経済新聞出版社

※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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