みなさんは王様になりたいですか?

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第135回

~『国マニア』(吉田一郎著)を読んで学んだこと~

 

可能性は限りなく低いですが、本書を読めばゼロではないことがわかります。

 

世の中に変な本はいっぱいあると思いますが、本書は珍本中の珍本です。

読めば読むほど、どうやって調べたのか?と思うほど、世界のマイクロ国家、ミニ国家の成立から現状までの経緯が事細かに書かれており、まさに「国マニア」が書いた本であることがよくわかりますが、単に本書を平読みしただけだと、こんなこと知ってどうするんだ?と、元も子もない話になってしまいます。

本書を読んで感じたのは、もちろん規模は異なりますが、企業や団体、協会などの組織を設立し、運営するのと通じるところが多々あることがわかりました。

会社と同じで、大きければ大きいなりのメリット、安定性や大きなプロジェクトができるなどのメリットがありますが、小さいなら小さいで、自分の役割が大きい、経営に近いところで仕事ができるなどのメリットがあります。

これと同じように、小さな国はそれはそれで存在意義があるから存在しているわけで、通常の組織と国が異なるのは、他の国から承認されるかどうかだけで、組織論的には大差ないのではと感じます。

まぁごたくはこれくらいにして、以下に気になった箇所を引用致します。

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/photos/地図-ヨーロッパ-地球-国-3483539/

 

【この本のポイント!】

 

【コラム】私的超ミニ独立国家の作り方—シーランド公国

「独立国を作って王様になりたい!」と思ったら、どうしたらいいだろう?
基本的に、どこかの国が領土の一部(または全部)に対する領有権を放棄してくれて、そこで独立宣言をすればいい。植民地はそうやって独立したのだが、見ず知らずの外国人に頼まれて、領土を放棄してくれる奇特な国があるとは思えない。十九世紀ならロシアがアメリカにアラスカを売却したように、金で領土を売買することもよくあったが、今の時代ではまず無理。ちなみに、日本から独立しようと本気で実力行動を起こした場合、刑法第七七条つまり内乱罪に該当して、首謀者は死刑または無期禁錮になりかねない。独立国を作るのは命がけなのだ。
もう一つの方法として、まだどこの国にもなっていない土地(無主の地)を探してそこに住み、領有宣言をすればいい。ただし南極は、南極条約で領土主権、請求権の凍結が取り決められているからダメ。大航海時代ならいざ知らず、偵察衛星が飛び回っている現代に、どこの国にも発見されていなかった無人島が存在するとも思えないが、近々爆発しそうな公海上の海底火山に狙いを定めておいて、島ができたら誰よりも先に上陸して領有宣言するというのは、可能性があるかもしれない。(後略)

『国マニア』P156~P157


画像引用元:https://pixabay.com/ja/photos/手-世界-地図-グローバル-600497/

 

一つ一つの独立国や自治区についての説明は、本書をくまなく読んでいただきたいのですが、それとは別で、私はここが気になりました。

なぜかと言うと、つい最近、日本で似たような現象が起こったからです。

それは、小笠原諸島に属している無人島、西之島です。

最近記憶に新しいのは、2013年~2018年まで数回にわたって火山活動が活発になり、西之島の近くに新島ができて、そのまま本島とくっついて面積が拡大しました。

この新島は西之島の近くに出来ましたので、仮に西之島とくっついていなくても、西之島に付属している島と見なされるのは間違いないでしょう。西之島は小笠原諸島の一部で、小笠原諸島は東京都ですので、この新しい島は、どう解釈しても日本の領土となります。ですので、もし2013年当時、この新しい島に無謀にも乗り込んで、領有宣言したところで、引用箇所にも書かれているように犯罪者扱いされて終わりでしょう。

ただ、私個人として驚いたのは、自分が生きている時代でも、このようなロマンがあるんだということです。今回はたまたま西之島の近くに島が現れ、最終的には西之島にくっついてしまいましたが、ある日突然、公海上に島が現れてもおかしくないと思いました。

もちろん、この新島が結局西之島とくっついたように、この手の島は、基本的に火山活動によって溶岩が噴出してそれが多過ぎで残った残骸物のようなものです。

 

西之島(旧島)は4000m級の山体をもつ海底火山の火口縁がわずかに海面上に現れた部分にあたる。
出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/西之島#海底火山の活動に伴う「新島」現象と地形の変化

 

上記にもあるとおり、公海上の何もないところにいきなりぽっこりと島が現れたわけではなく、元々あった山が噴火によってさらに大きくなったということで、そして、その元々あった山の頂上は島として海面に出ていることも多いため、仮に新しい山ができたとしても、今回のように既存の島の近くにできる可能性が高いでしょう。

論理的に考えてしまうとこのようにロマンもへったくれもない話になってしまうのですが、そもそも噴火で新しい島ができて領土や領海、領空が拡大するなんてことが今の時代に起こったというのがそもそも衝撃的でした。

今はネットの時代で物理的な領土の価値はどんどん減ってきていますし、月に基地をつくろうなんて話も出てきていますが、本書のマニアックな内容に加え、このようなロマンも思い出させてくれた本書でした。

 

一介の読書オタクより

 


画像引用元:https://www.amazon.co.jp/国マニア-世界の珍国、奇妙な地域へ%EF%BC%81-ちくま文庫-吉田-一郎/dp/4480427252

 

参考図書:『国マニア』
発行年月:2010年7月
著者:吉田一郎(よしだ・いちろう)
発行所:筑摩書房
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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